BLOG

今回はディズニーの名アニメーターによる教本「ロン・ハズバンドが教えるクイックスケッチ」を読んで学んだ点についてまとめていきます。

まずクイックスケッチの重要性について(p.15)

動きの中のキーアクションを見極める観察力、見たものの本質的な特徴を描きだす能力が磨かれる。アクションを分析できるようになる。クイックスケッチを続けることでストーリーボードや最終シーンまで昇華できる。

モデルがとった堅いポーズではなく動きを描くことで生きた人間が描けるようになる。


①5W1Hを明確に!(プロップでよりわかりやすくなる!)

本書で繰り返し言われていることの中にこの5W1Hがあります。中でも、「誰が」「何を」「どのように」が大切でこれらを明確にすることでより伝わるスケッチとなります!

特に参考になったのがp.48の「引きずり、慣性の法則」

この2つを使えば、止め絵だとしてもそれまでの動きが明確に分かります。(どこから動いてきたか、どのような体の使い方でそのポーズに至ったか)

また、プロップがどうその人に使われているか分かるように描くことで描かれている人物の人間性が分かります)



②モノをシンプルな形で捉える!(円、楕円、正方形、長方形、三角形etc,)

物を四角など簡単な形で捉えると紹介されていますが、私はアクションラインと組み合わせて考えてみました。ここではアクションシェイプと呼ぶことにします。

例えば大きな力を生み出すときには、アクションシェイプは大きな状況から一度小さくなり、それがまた大きくなることで爆発的な力を生みます。p.260が良い例です。棒高跳びの選手が棒と体を一気に曲げ、その反動で大きく飛び上がります。他にもパンチの瞬間、ダッシュの切り替えしの瞬間などアクションシェイプは一度小さくなってから大きくなります。


③ネガティブシェイプの重要性!

描く対象のネガティブシェイプはポジティブシェイプと同じくらい重要です。

ネガティブシェイプを考えることで比率、バランスがとりやすくなります。

例えば鼻ばかり正確に描いても位置取り、比率がおかしくては絵として魅力的とは言えません。



Fate/Zero、10話「凛の冒険」がかっこよかったので考察します。

初回の記事は文字数稼ぎの内容が痛々しかったので文章を削除しました。



序盤は子供からの目線で標準もしくはやや広角気味のレンズが多用される。今回は今までと打って変わって子供にフォーカスを当てた回、凛が主役の回ということが分かる。下図の下段の凛が友達に勉強を教えているレイアウト。輪に入れない内気な少女ことねにも話しかける凛、これがラストへの布石となる。



続いてこのレイアウト。棚と窓枠、そして手前の少年2人の視線が凛に向かって伸びており視線誘導をしている。通常、廊下のレイアウトを作るときは、消失点に人物を置くと自然とパース線が視線誘導の役割を果たす。(ひとつ下のけいおん!のレイアウト参照)しかし、今回は廊下に対して斜めの二点透視のアングルのため、左の消失点に向かう棚の線(青枠の位置)を人物で隠しそちらに視線が行かないようにしている。


路地裏のレイアウト。最初にその狭さを見せておくことで、次のレイアウトを望遠気味の壁ぶち抜きのカメラ位置にしても狭い感じが出る。静止画だと分かりづらいですが横にカニ歩きしてます。


ことねを誘拐した犯人を尾行中、音を立ててしまい奥の角から戻ってこないかと隠れるシーン。分かりやすく奥に向かってパース線が伸びた視線誘導。すごいと思ったのは次のカット階段の斜めに伸びる線を使って凛に視線誘導している。そのための階段の配置。芸が細かい。


連続殺人事件の犯人の可能性もある誘拐犯を追うことへの恐怖から自らを奮い立たせているシーン。目が震え怯えている。奥に向かって歪んだようなレンズ。歪んだレンズは不安感、緊張感を煽る。その下は決意を固め立ち上がるカット。ローアングルから迫力のある正面の構図。意思の強さを表すレイアウト。


下のカットは暗いのでトーンカーブ調整。左から誘拐犯がインしてくることでバーカウンターが視線誘導の役割を果たす。本当にしつこいくらい視線誘導が重ねられている。地味に凛が椅子の上に立つことで身長の差が無くなり、違和感なく相対する構図が作れている。発想が凄い。


誘拐犯から子供たちを救出したかと思いきや謎の人物が襲来。おしゃれポイント。右からトラックが走ってきて逆光になる。崩れ落ちる凛、ローアングル、逆光と絶望感が演出されている。

最後は序盤と同じようにことねが輪に入れないでいるが、

凛が笑いかけてくれ、元の平穏が戻ったことが示唆される。序盤のレイアウトが布石となっていた。

かわいい